最高裁判所第一小法廷 昭和39(オ)1240 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人盛川康の上告理由第一点について。
金銭債権を有する者が、その債権を保全するため債務者の第三者に対して有する
権利を代位行使できるのは、債務者の資力がその債務を弁済するについて十分でな
い場合にかぎられると解するのが相当であり(当裁判所昭和三九年(オ)第七四〇
号同四〇年一〇月一二日第三小法廷判決参照)、これと同趣旨の原審の判断は是認
できる。所論引用の大審院判例は金銭債権を保全するための代位請求以外の判旨で
あつて、本件に適切でなく、論旨は採用できない。�
同第二点について。
論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実認定を非難し、独自の見解に
基づいて原判決を攻撃するに帰するから、採用できない。
同第三点について。
原判決は、所論通謀虚偽表示の点を判断するまでもなく、上告人の本訴請求が債
権者代位の要件を欠くことを理由として認容できないとしているのであるから、所
論は何ら判決に影響を及ぼさないことを主張するものであつて、採用できない。
同第四点について。
上告人の本訴請求は債権者代位の要件を欠くから理由がないとする原審判断の正
当であることは、前示のとおりであつて、原審口頭弁論終結後に成立した書面を掲
げて異見を述べる所論は採用の余地なく、原判決に所論理由不備の違法はないから、
論旨はすべて採用できない。
同第五点について。
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所論証人D及び上告人本人尋問の申出を原審が採用することなく口頭弁論を終結
したことは、所論のとおりであるが、証拠申出の採否は原審の専権事項であるから、
右を採用しなかつた点に何ら違法はない。また、原審の最終口頭弁論調書の記載に
よれば、当事者双方において他に主張立証なき旨を陳述したうえ口頭弁論が終結さ
れていることが明らかであるから、右証拠申出は放棄されたものと認められる。従
つて、所論証人及び本人尋問の申出に対する採否の決定が原審調書上に記載されて
いないからといつて、何ら違法とはならない。よつて、所論は採用できない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 松 田 二 郎
裁判官 岩 田 誠
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